トリコチロマニア 101

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新聞記事から抜粋

 
精神科医の松本先生による毎日新聞の記事:
松本俊彦のこころと向き合う:/5 鎮痛薬適応拡大の危うさ
http://mainichi.jp/shimen/news/20150813ddm013070010000c.html より、
気になるところをピックアップしてみます。 

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 トヨタ女性役員による医療用麻薬の密輸騒ぎは、私には米国の薬物を巡る状況の一端を反映した出来事と感じられた。米国では医療用麻薬の乱用・依存が深刻な社会問題となっており、その主要な原因として医療機関での安易な処方がある。(1)

 この件は、対岸の火事ではない。実は日本でも数年前から、医療用麻薬のモルヒネと同系統の「オピオイド系鎮痛薬」の適応拡大が進んでいるからだ。「使う薬は弱いオピオイドだから依存性がない」と楽観する人もいるが、弱オピオイドに分類される成分「コデイン」を含むせき止め薬の依存症患者を多く診てきた私からすれば、説得力を感じない。

 誤解しないでほしいが、私は緩和ケアにおける医療用麻薬の重要性は十分に認識している。実際、がんの痛みを無用に我慢するのは、生活の質を下げるだけでなく、予後にだって悪影響を及ぼしかねない。だから「医療用麻薬は依存症になる」「がんの余命が短くなる」という誤解が日本で根強いのは残念に思う。(2)

 しかし、腰痛や関節痛のような慢性的な痛みにオピオイド系鎮痛薬を用いるのは心配だ。痛みの慢性化には、家族との葛藤や孤独感といった心理的な問題が影響することがある(3) が、オピオイド系鎮痛薬は体の痛みにだけ効き、心理面の問題への効果はない。(4) 意外に知られていないが、この「一方で望みをかなえ、他方で裏切る」という中途半端さは、わらをもつかむ思いの患者を薬物におぼれさせる一因となる。(5)

 「医師が厳格に管理すればいい」と言うのにも限界がある。処方薬乱用・依存の多くは、医師の悪意ではなく善意によって作られる。(6) 人は誰しも痛みに弱いが、実は他人の痛みにも弱いのだ。医師ならなおのこと、痛みに苦しむ患者を前にただ傍観するのは拷問に等しいだろう。痛みには客観的な指標がないだけに、苦痛の訴えに対して「何とかしなければ」という気持ちになりやすい。だが、そこで安易に増薬を繰り返せば、果てには故マイケル・ジャクソン氏のような悲劇が待っている。(7)

 今回の事件を機に、この国なりのオピオイド系鎮痛薬との付き合い方を、しっかりと考えるべきだろう。(まつもと・としひこ=国立精神・神経医療研究センター部長)
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私のコメント(番号対応しています):
(1)鎮痛薬というのに限定されていますが、向精神薬と置き換えても全然読める記事です。安易な処方は日本も同じ。
(2)現代医学を否定せず、医者っぽいことも言わないといけないんだよねー立場上。
(3)家族の影響で、症状が出てくる。物理的な痛みもそうなのね。。。
(4)精神科医の文章であることを再認識し、反芻しましょう。
(5)中途半端って、いちばん良くないんです。でもその中途半端に陥れられる原因が医者という、この矛盾。
(6)善意?善意なんて言っちゃいけないよー先生。すべては金もうけでしょう。
(7)マイケルの主治医(だったっけ…)が悪いとも言えますが、マイケル自身が普段から薬にものすごく依存していたのは事実なのでしょう。麻酔薬を使用することによってでしか眠れなかったみたいで、よくよく考えるとこの状態ってすごい。(しつこいですが、眠剤じゃなくて、麻酔薬でしか眠りに入れなかったんだね。。。)
 
 患者が痛がっているから鎮痛剤を出す。患者がしんどがっているから向精神薬を出す。これって本当に善意のある、良いお医者さんなのでしょうか?等々は自分の頭で考えましょう☆
 
※少々けなしてしまいましたが、松本先生は「精神科医の出す薬は、効きが悪い」と昨年のピアサポ祭りでも自ら仰っており、精神科医の中ではまだぜんぜんちゃんとされているほうだと思います。